「『知』を共有し、地域を強くする」
会津美里町で、インターネットによる古本の販売をしている「古書 会津野」の長谷川洋一さん。
倉庫にある本の数はなんと約5万冊。
「書店の数が減り、ネットで本を買うことが増えてきた」
「もしかして、自分が読んだ本をネットで売れるんじゃないか?」
と、自分で読んだ本をネットで販売したのがはじまり。
「読書をしては売り、その資金でまた本を手に入れる」
そうやって、徐々に販売する量が増えていった。
ある日、長谷川さんが友人から本の販売を託されたとき、
「それなら、古本屋をやってみよう」
と、はじめたのが「古書 会津野」だ。

「古本屋の壁」
古本屋という仕事は、読者が読んだ後に不要となった本を集め販売をする。
だから、地域の人々から本を集め、その本の買取りを行う。
地域のお客様は、期待を込め、
「どのくらいで買い取ってもらえる?」
と言う。
査定をして、
「この本はこの買取り価格になります」
このとき、お互いが納得するような額にならないことが多いのが、長谷川さんの悩みでした。
長谷川さんは、お母さまに付き添い、東京の「がんセンター」に行く機会がありました。
待合室の一角には本棚があり、長い待ち時間に読書をする人々の姿が見られます。
その本棚は、長野県の古本屋「株式会社バリューブックス」が提供していました。
バリューブックスでは、お客様から集めた書籍やゲームなどの買取り相当額を、「がんの研究」「がん医療の推進」のために寄付をする活動をしていました。
その結果、
①本を提供するお客様は、がん医療の推進に貢献することができる。
②古本屋は適正な価格で買取りができる。
③病院は善意の寄付を受け取り、医療向上のための資金として活用できる。
このとき長谷川さんは、「WIN-WIN-WIN」の状態になっていることに気づく。
この素晴らしい仕組みを、どうにか地域に応用できないかと模索。
そこで辿り着いたのが、
「古本募金」だ。

地域から本を集め、買取相当額をこども食堂に寄付する仕組みとした。
はじめてみると、
①本を提供なさるお客様は、地域に貢献していることを実感できる。
②長谷川さんも感謝して本を受け取ることができる。
③こども食堂にとり、貴重な資金源になっている。
「三方得な仕組みがつくれてよかった」
「地域の人から本を集め、その『知』を必要とする人々に売り渡す」
「『知』の橋渡し」
「それが地域の学びになり、地域を強くする」

「会津地方は、新刊書店も古本屋も減少し、地域の力が弱くなってきています」
「この機会に地域の方々に多くの本に触れていただき、本からの『知』の共有を強めていきたい」
と、会津ブックフェアに込める期待を話される。
「古書 会津野」では、店頭での本の販売のほか、倉庫の見学にも応じています。
ご希望の方には、事前にご連絡をいただき対応をしています。
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古書 会津野
住所 福島県大沼郡会津美里町寺崎柿屋敷88
電話番号 0242-55-1020